2025年9月5日

お店の販管費が膨らむ時代に、売場でできる工夫と可能性

こんにちは。いつもこのブログに目を留めていただきありがとうございます。

今、小売の現場では避けられない課題に直面しています。電気代や人件費といった販管費が膨らむ中で、どうやってお店を成長へとつなげていくか――。

この記事では、最近の売場観察をもとに「安さに頼らない売場づくりの工夫と可能性」について、一緒に考えてみたいと思います。

避けられない販管費の上昇と小売の課題

電気代や人件費の上昇は、今やどの店舗にとっても避けられない現実です。

お客様の来店数を確保できても、「必要なものだけ」「安いものだけ」を購入して帰られると、販管費を吸収できるだけの売上拡大にはつながりません。

だからこそ、これからの売場には次のような視点が欠かせないように思います。

  1. 良いものを選んでもらう
  2. ついで買いを促す
  3. 安さに頼らなくても“欲しい”と思ってもらう

この3つを意識することで、売上の広がりが見えてくるのではないでしょうか。

「近い」「安い」だけでは広がらない売上

「近い」「安い」という条件があれば、お客様は足を運んでくださいます。

しかしそれだけでは、どうしても購買行動が限定されがちです。

お店にとって大切なのは、来店の先にある「もう一品」「ついでの購入」、そして「安さに左右されない買い物体験」です。そのためには、売場そのものが 発見や気づき、楽しさを感じられる空間 であることが求められます。

売場に必要なのは「目を止める工夫」

売場で発見や気づきを生むためには、まず お客様の目に留まること が欠かせません。

デジタルサイネージやタッチパネルなどの仕掛けも登場していますが、実際に操作してもらえるのはごく一部であり、「本当に欲しい情報」に限られることが多いように感じます。

一方で、昔ながらの手法である「大量陳列」には今も確かな力があります。商品が壁のように並んだ売場は圧倒的な存在感を放ち、必ず視線を奪います。

ただしここには課題もあります。

  • 手間と人手がかかる
  • 転倒リスクへの配慮が必要
  • 「面白い」と思わせるデザイン性には経験値が求められる

こうした課題をどう乗り越えるかが、今後の鍵になりそうです。

売場から見えた具体的な事例

⭐️ナビスコ・リッツ

巨大なリッツのモーター可動式ディスプレイは、思わず足を止めてしまう迫力。サイネージが商品に埋もれてしまう中でも、「動くPOP」は確実に注目を集めていました。

⭐️伊藤園の麦茶

大きなパッケージ型クッションを使った売場は、見た目の楽しさと安全性を両立。猛暑時期に「水分補給」の大切さを再認識させ、通年商品を“再発見”させるきっかけになっていました。

⭐️ライフの夏祭り展開(Qoo・コカコーラ)

巨大なキャラクターぬいぐるみで空間を演出。売場全体が「楽しいイベント会場」に変わり、思わず笑顔になる雰囲気が広がっていました。

⭐️日清・カレーメシ

ポップで前衛的なブランドイメージと、大量陳列が見事に融合。あまり手間をかけずとも、CMや広告で築かれた世界観と売場がリンクし、「らしさ」が伝わる展開になっていました。

まとめ 〜販管費増の時代にこそ必要な視点〜

  • 販管費の上昇は避けられない現実
  • 「近い」「安い」だけでは来店はあっても売上拡大にはつながらない
  • 成長のためには「良いものを選んでもらう」「ついで買いを促す」「安さに頼らなくても欲しいと思ってもらう」仕掛けが必要
  • サイネージよりも「目を止める工夫」、特に大量陳列や遊び心ある演出が有効

販管費が膨らむ時代だからこそ、売場を工夫することに成長の可能性があるように思います。

私たちも皆さまと一緒に、この変化を前向きに捉え、新しい売場の可能性を広げていければと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。