2025年8月22日
こんにちは。いつもこのブログに目を留めていただきありがとうございます。
今回は、「フェムテック・フェミケア」という少し耳慣れないかもしれないテーマから、売場づくりのヒントを探ってみたいと思います。
女性の“つらさ”に光を当てるこの商品群は、売場づくりにおいても繊細な配慮と工夫が求められる領域です。
ですが、それと同時に「これまで語られてこなかった不調や違和感」が売場で扱われるようになってきたことに、売場が少しずつ“共感”や“ケア”の視点に向き合い始めている変化の兆しも感じられます。
少し社会の背景を振り返ってみると、今の日本は急激な人口減少、実質賃金の低下、そして価値観の転換のまっただ中にあるように感じます。
生活に対する不安が広がるなかで、「夫の稼ぎで家計を支える」という従来のモデルが成立しづらくなり、共働きが“選択”ではなく“前提”となる世帯が増えています。
その一方で、職場や制度は依然として“男性モデル”を前提に設計されたままの部分が多く残っており、女性たちは働きながら多くの負担や葛藤を抱えているのが現状です。
また、ジェンダーのあり方や家族のカタチも多様化が進み、「誰のどんな“つらさ”に寄り添う必要があるのか」を問い直す機運も高まっているように感じます。
そんな時代の流れのなかで、注目され始めたのがフェムテック・フェミケアという新しい価値観と商品群です。
いずれも、従来見過ごされがちだった“つらさ”に光を当て、自分をケアすることに前向きな選択肢を与えてくれる存在として広がり始めています。
この分野の商品は、売場づくりの現場においていくつかの難しさを伴うカテゴリでもあります。
生理用品やデリケートゾーンのケア商品は、多くの女性にとって必要不可欠なアイテムである一方で、手に取ることに心理的なハードルを感じる人もまだ少なくありません。
そのため、売場では**“視認性”と“プライバシーへの配慮”のバランス**が求められます。
「気づかれなければ届かない」けれど「目立ちすぎると手に取りにくい」——このジレンマをどう越えていくかが、売場提案の工夫のしどころとも言えます。
この領域は「欲しい」と自覚されにくく、使う場面やメリットが生活者の中で具体化されていないことも多く見られます。
機能が優れているだけでは響かず、「これは自分のためのもの」と気づいてもらうための“言葉選び”や“伝え方”が問われます。
つまり、ただの機能訴求だけではなく、「誰の、どんな場面に寄り添うのか」を共感をもって伝えることが大切になってくるのです。
こうしたフェムテック・フェミケアの広がりは、単なる商品トレンドではなく、“これまで我慢とされていた不調”に社会がようやく向き合い始めた兆しでもあると感じます。
生活者の中にあった「こんな商品が欲しかった」という小さな声が、少しずつ売場に届きはじめているのかもしれません。
その意味で売場は、単なる陳列スペースではなく、**社会の変化や意識の移ろいを受け止める“感度の場”**でもあると言えるのではないでしょうか。
価格訴求やお得感だけでは届きにくい今の時代において、「これはあなたに必要な商品です」と静かに伝える売場の存在価値は、より大きくなっているように感じます。
フェムテック・フェミケアという領域には、生活者の新しい気づきを生むきっかけが多く含まれています。
私たちも、そうした“声なき声”に寄り添いながら、売場の役割を一緒に考え、広げていければと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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