2025年10月3日

イオンの「オクトーバーフェスト」に学ぶ、目的来店性のつくり方

こんにちは。
いつもこのブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は、イオンが展開した「オクトーバーフェスト」の売場づくりを取り上げながら、小売にとっての“目的来店性”をどう設計するかを一緒に考えてみたいと思います。

イオンの「オクトーバーフェスト」とは

イオンはドイツから直輸入したビールやソーセージなどを販売するフェア「オクトーバーフェスト」を展開。
ドイツの世界的なビール祭典の開催に合わせて行う。

単なるビールフェアではなく、「おうちフェス」をテーマに売場全体を巻き込んだ展開が特徴的。
専用グラスや焼肉プレート、ピザなども販売して自宅での楽しむビール需要を喚起。
9月12日から23日まで約1600店で展開。
催事コーナーにはドイツのビールをはじめプライベートブランドの発泡酒やおつまみ、パンやオリーブオイルなど関連商材も並ぶ。

ドイツから直輸入したビール累計で1,000万本以上を販売する「クロンバッハ」ほかイオンのプライベートブランドトップバリュの発泡酒バーリアルグランを揃える。

期間限定でトップバリュブランドのドイツソーセージも販売し輸入ビールとのペアリング。

他にも生鮮、惣菜とのペアリング展開も。

イチ押しは4種のピザを楽しみことが出来る限定ピザ。

果実・農産売り場からグロサリーや冷凍・チルドの売り場でフェストを盛り上げた演出が行われている。

生活用品売り場のステージではたこ焼き器やホットプレートを売場に組み込み、「家庭でそのままフェス気分を楽しめる」イメージを伝えていた。

全国のイオンのグループの店舗によって9月の新しい歳時企画としての可能性を探る。
輸入ビールはイオンのルートを活用、ビールのおつまみとして生鮮部門をはじめグロサリー他を訴求。展開からは小売が企画する販促の熱量が伺える。

「ここに来れば本場の雰囲気が手に入る」というリアリティを伴った構成になっていました。

この事例から見えてきたこと

  • テーマを設けると、買い物が連鎖しやすい → 客単価アップにつながる
    「オクトーバーフェスト」と決めることで、ビールだけでなく惣菜や調味料、調理器具まで自然に買い回りが広がる。
    結果として買い上げ点数が増え、客単価向上に直結します。
  • 自社の強みを前面に出すと、来店理由が明確になる
    イオンの場合は、直輸入ビールとPBの豊富なラインアップがそれでした。他店では真似できない独自調達を「ここにしかない価値」として前に出すことで、「イオンに行こう」という指名理由をつくっていました。
  • 捉え方をクリエイティブすることで、需要の幅が広がる
    「パーティ=家族の行事」という従来の枠を、「フェス」という軽やかな言葉に置き換えることで、一人暮らしや友人同士まで巻き込む新しい需要を生み出していました。
    つまり、需要そのものを再定義する“新しい捉え方”が目的来店性につながったのです。

他の小売にも応用できる

イオンの事例はスケールが大きく見えますが、エッセンスはどの小売でも応用可能です。

  • ・地域密着型スーパーなら、「地元祭り」をテーマに、地元食材や地酒をまとめて需要を喚起できる。
  • ・簡便調理に強いチェーンなら、「10分で完成するホームパーティ」をテーマに半調理品と調理家電を組み合わせられる。
  • ・PBに強みを持つ企業なら、「PBだけで揃う週末フェス」として価格と品質の両立を前に出せる。

大切なのは、自分たちが持つ強みを“どう捉え直すか”。その捉え方次第で、需要を広げ、新しい来店理由をつくり出せます。

まとめ

イオンの「オクトーバーフェスト」は、単なる輸入ビールフェアではなく、「家庭で楽しむ新しい需要」を売場全体で創出した事例でした。

そこから見えてきたのは

  • テーマ設定による客単価アップ
  • 自社強みを来店理由に変える工夫
  • 捉え方をクリエイティブすることで需要を再構築する視点

の3つです。

これはイオンに限らず、どの小売・どのメーカーにも応用できるはずです。

私たちも、皆さまと一緒に「強みを活かし、新しい捉え方で需要をつくる売場づくり」を考え、広げていければと思います。