2025年8月27日
こんにちは。いつもこのブログに目を留めていただきありがとうございます。
今回は、イトーヨーカドーが昨夏創刊したフリーマガジン「はとぼん」を取り上げながら、新しい来店の理由づくりについて考えてみたいと思います。
いま、小売の現場では「どうすれば生活者に足を運んでもらえるか」という課題がますます大きくなっています。
物価高のなかで安さはもちろん重要です。しかし、むしろ家計が厳しいからこそ“安さだけでは動かない”時代に入っているように感じます。
実質賃金がインフレに追いつかない状況が続き、生活者の財布の紐は固くなっています。節約行動は一層強まり、ペットボトル飲料から水出しパックへ、レトルトより自炊へ、大容量商品の家庭利用へと「合理的な節約」が当たり前になってきました。
その一方で、「ただ安いだけ」では選ばれにくくなっている姿も見えてきます。生活が苦しいからこそ、商品に対して「本当に必要か」「どんな気持ちになれるか」という視点が強く求められているのです。
こうした中で小売に必要なのは、“安さ+α”の理由をどう提供するか。つまり「来店する必然性」をどう生み出すかが課題になっているように感じます。
イトーヨーカドーは2024年7月、フリーマガジン「はとぼん」を創刊しました。
商品の特性や作り手の思いが十分に伝えられていないという課題を背景に、社内に編集チームを立ち上げ、店頭・掲示物・デジタルまで横断したコンテンツを発信しています。
誌面の内容は、暮らし提案やメニュー提案、時勢のトレンドを商品と掛け合わせた発見記事など。
さらに、競合メーカー同士の比較や、人気俳優のインタビューを掲載する「はとCafe」コーナーなど、読者を惹きつける仕掛けも豊富です。
実際にこのインタビュー記事はAmazonやメルカリで取引されるほど人気を集めています。
Amazonの様子、けっこう高額がついている、、、!!💦
「情報誌そのものが来店の理由になる」という点は、とても大きな示唆を含んでいるように思います。
「はとぼん」から見えてきたのは、いくつかの兆しです。
買い物は「何を買うか」から「どう買うか」「どんな気持ちで買うか」へと移行しているように感じます。
「はとぼん」は、暮らしを彩る物語を誌面にまとめ、売場と連動させることで“来店の必然性”をつくり出しています。メーカーにとっても、自社商品の価値を伝える新たな場として機能している点が注目に値します。
実質賃金がインフレに追いつかず、安さがこれまで以上に大切になっている今。だからこそ、安さ一辺倒では届きにくい時代に入っています。
生活者は「節約」と同じくらい「納得」「共感」「小さな楽しみ」を求めています。その視点を加えた売場づくりや情報発信こそが、これからの来店動機を高める鍵になっていきそうです。
私たちも、こうした変化の兆しを皆さまと共有しながら、一緒に「選ばれる売場」を考え、広げていければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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