2025年9月16日

記念日をつなげて売場に変える ― 小売とメーカーの新しい協働の形

こんにちは。

いつもこのブログに目を留めていただきありがとうございます。

今日は「記念日」を切り口に、売場づくりの新しい可能性を一緒に考えてみたいと思います。

メーカー同士のコラボが示すもの

以前の記事「ただ安いだけでは届かない時代に。夏の売場が示すテーマMDの力」では、「日清食品×サントリー」や「花王×カバヤ」といったメーカー同士のコラボ事例をご紹介しました。

こうした取り組みは単なる話題づくりにとどまらず、販管費の抑制や労働力不足への対応といった小売の現場課題の解決に少なからず寄与しています。1社がすべてを担うのではなく、複数社で分担することで、労力やコストを抑えながら売場を活性化できるからです。

この「協働型の売場づくり」は、今後さらに加速できる可能性を秘めていると感じます。

記念日が持つ販促の意味

日本には毎日のように記念日があります。商品の発売日や語呂合わせ、文化の普及など、内容は実に多彩です。もちろん、すべての記念日が売場にそのまま活かせるわけではありません。

そこで今回は、例として次のような記念日を挙げてみます。

  • 9月1日 ギリシャヨーグルトの日:森永乳業が制定。発売開始日に由来し、近年は熱中症対策の観点からも注目。
  • 9月1日 マテ茶の日:アルゼンチンの収穫祭にちなむ。カフェインが少なく利尿作用が穏やかで夏場に適している。
  • 9月3日 クエン酸の日:「9(く)・えん・3(さん)」の語呂合わせ。残暑が厳しい時期に夏バテ対策を意識して登録。
  • 9月3日 琉球もろみ酢の日:クエン酸を豊富に含み、疲労回復に良いとされる健康飲料。

実はこれらの例、後ほど説明しますが「あるテーマ」をもとに私がピックアップしたものです。

記念日をつなげると売場が変わる

単品の記念日訴求はどうしても限定的になりがちです。

しかし複数の記念日を組み合わせれば、売場全体に一つのストーリーを与えることができます。

例えば、9月1日〜3日を「残暑対策アイテム特集」として展開すれば、ヨーグルト・マテ茶・クエン酸・もろみ酢を「季節の健康サポート」としてまとめられます。由来や効能を一緒に紹介することで、単なる商品列ではなく「記憶に残る売場」にすることが可能です。

小売とメーカーの新しい協働の形

記念日を活用した売場展開は、小売とメーカー双方の協働によって効果を発揮します。

  • 小売にとって:複数メーカーが協賛することで労力や費用を分担でき、展開のしやすさが増します。その結果、売場を活性化しながら集客力を維持できます。
  • メーカーにとって:単独では大掛かりな展開が難しい中でも、協働特集に参加することで労力・費用の負担を抑えつつ、新たな露出機会を得られます。さらに記念日というストーリーを介することで、生活者の記憶に残りやすい訴求につながります。

必要なのは、こうした取り組みを束ねるコーディネートの力です。ツール製造や陳列の調整には確かに手間がかかりますが、協賛メーカー同士で分担すれば現実的に実行可能です。ここにこそ、私たちのような販促支援会社を“便利に”活用いただける余地があると考えています。

まとめ

  • 記念日は数多く存在するが、共通テーマに基づき束ねる視点が重要。
  • 「なぜ今これを売るのか」を説明できるストーリーを記念日から導き出すことで、売場は大きく変わる。
  • 複数メーカーによる協働は、小売の現場課題解決(労力・費用の軽減)と新しい価値創造(露出機会・記憶訴求)の両立につながる。

私たちも、皆さまと一緒に「記念日をつなげて売場に変える」取り組みを考え、広げていければと思います。

資料:9月の記念日だけでもこんなに!!

日付 記念日 概要
9月1日 防災の日 1923年の関東大震災を教訓に1960年制定。毎年各地で防災訓練。
9月1日 ギリシャヨーグルトの日 森永乳業が制定。2011年9/1「パルテノ」発売日に由来。日本記念日協会認定。
9月1日 キウイの日 ゼスプリが制定。「キュー(9)イ(1)」の語呂。日本記念日協会認定。
9月1日 マテ茶の日 日本マテ茶協会が制定。アルゼンチンの収穫祭が9/1に行われることに由来。日本記念日協会認定。
9月3日 グミの日 UHA味覚糖が制定。「9(グ)3(ミ)」の語呂。キャンペーン展開など。
9月3日 ドラえもんの誕生日 設定上の誕生日は2112年9月3日。毎年ファン/企業による記念企画が行われる。
9月3日 クエン酸の日 「ク(9)エン酸(3)」の語呂。夏バテ対策など関心喚起。日本記念日協会認定。
9月3日 ベッドの日(good sleep day) 全日本ベッド工業会が制定。「グッスリ(9・3)」の語感と秋の夜長の睡眠啓発。日本記念日協会認定。
9月3日 アフタヌーンティー文化の日 日英アフタヌーンティー協会が制定。ベッドフォード侯爵夫人の誕生日(1783/9/3)に由来。日本記念日協会認定。
9月3日 琉球もろみ酢の日 もろみ酢公正取引協議会(沖縄)が制定。泡盛のもろみに由来する飲料の普及。日本記念日協会認定。
9月3日 S-903納豆菌の日 タカノフーズが制定。自社の「S-903」納豆菌番号にちなむ。日本記念日協会認定。
9月4日 ディズニーシー開業の日 2001年開業の東京ディズニーシーに由来。以後、周年企画が展開されている。
9月4日 目覚めスッキリの日 アサヒグループ食品が制定。睡眠の日(9/3)の翌日に起床の質を見直す趣旨。日本記念日協会認定。
9月6日 黒の日 (過去提案ネタ)ファッションなどに「黒」を取り入れて気分転換する日としての打ち出し。
9月6日 黒豆の日 菊池食品工業が制定。ポリフェノール豊富な黒豆の普及。
9月6日 かむかむレモンの日 三菱食品の菓子「かむかむレモン」にちなみ、発売月9月+「む(6)」の語呂。
9月6日 黒酢の日 ミツカンが制定。「く(9)ろ(6)」の語呂。毎日の健康づくりに。
9月6日 X-BLEND CURRYの日 ハウス食品が制定。「ク(9)ロ(6)スブレンド」由来の語呂。
9月6日 ブラックサンダーの日 有楽製菓が制定。商品の色味と「く(9)ろ(6)」の語呂。日本記念日協会認定。
9月6日 キョロちゃんの日(森永チョコボールの日) 森永製菓が制定。「キョ(9)ロ(6)」の語呂。日本記念日協会認定。
9月7日 タフグミの日 カバヤ食品が制定。人気シリーズ「タフグミ」のPR。日本記念日協会登録。
9月8日 ハヤシの日(ハヤシライスの日) 丸善の創業者・早矢仕有的の誕生日に由来。丸善ジュンク堂が制定。日本記念日協会認定。
9月8日 クックハピネスの日(Cook happinessの日) エースコックが制定。「クック(9)・ハピネス(8)」の語呂。日本記念日協会認定。
9月9日 おうちで美顔器の日 ヤーマンが制定。「キュッ(9)キュッ(9)」の擬音にちなむ。
9月9日 きゅうりのキューちゃんの日 東海漬物が制定。「きゅう(9)りのキュー(9)ちゃん」の語呂。PR目的。
9月9日 ポップコーンの日 ジャパンフリトレーが制定。数字「909」を左右反転すると「POP」に見えることから。
9月9日 秋のロールケーキの日 モンテールが制定。「9」の字形や“くるくる”の動作にちなむ。日本記念日協会認定。
9月9日 手巻き寿司の日 スギヨが制定。「く(9)るく(9)る」の語呂合わせ。日本記念日協会認定。
9月9日 食べものを大切にする日 ベターホーム協会が制定。重陽の節句に合わせ「捨てない/残さない(ナイン)」の啓発。日本記念日協会認定。
9月9日 日本の食文化・燻製(スモーク)の日 ヒラオが制定。「モク(9)モク(9)」の語呂。日本記念日協会認定。
9月11日 たんぱく質の日 明治が制定。アミノ酸の必須9種類・非必須11種類に由来。
9月12日 宇宙の日 宇宙への関心を高める啓発日。学び・探究のきっかけづくり。
9月15日 ひじきの日 三重県ひじき協同組合が制定。旧・敬老の日(9/15)に合わせ長寿食として普及。日本記念日協会認定。
9月15日 スナックサンドの日 フジパンが制定。1975年9/15の発売日に由来。日本記念日協会認定。
9月16日 アサイーの日 フルッタフルッタが制定。スーパーフードの普及。日本記念日協会認定。
9月17日 イタリア料理の日 日本イタリア料理協会(ACCI)が制定。「ク(9)チー(1)ナ(7)」=cucina の語呂。日本記念日協会認定。
9月18日 かいわれ大根の日 日本かいわれ協会(現:日本スプラウト協会)が制定。会合開催月・数字の形に由来。日本記念日協会認定。
9月19日 クイックルの日 花王が制定。「ク(9)イ(1)ック(9)ル」の語呂。住まいの掃除啓発。
9月20日 明治エッセルスーパーカップの日 明治が制定。1994年9/20の発売に由来。ブランド認知の強化。
9月23日 おいしい小麦粉の日 富澤商店(TOMIZ)が制定。パン伝来にちなむ。日本記念日協会認定。
9月24日 海藻サラダの日 カネリョウ海藻が制定。創業者の誕生日にちなむ。栄養とおいしさの普及。
9月29日 洋菓子の日 三重県洋菓子協会が制定。菓子職人の守護聖人・大天使ミカエルの祝日にちなむ。日本記念日協会認定。
9月30日 クミンの日 ハウス食品が制定。「ク(9)ミン(30)」の語呂。スパイス認知の向上。
9月30日 くるみの日 カリフォルニア くるみ協会が制定。「く(9)るみ(30)」の語呂。健康食材としての普及。