こんにちは。いつもこのブログに目を留めていただきありがとうございます。

今回のテーマは「お得カレンダー」です。実はこの仕組み自体は昔から存在します。
ですが、物価高や人件費の上昇など今の時代の背景を踏まえると、“消費行動のデザイン”という新しい視点で見直す価値があるのではないかと感じています。

消費環境の変化と販促の課題
いま小売業を取り巻く環境は大きく変化しています。
- 物価高と生活コストの上昇
実質賃金の伸び悩みから「いかに節約するか」が生活者の最大関心事に。
単なる安さだけでは選ばれにくい状況です。
- 人件費の上昇と販管費の重圧
人手不足や最低賃金の引き上げを背景に人件費は上昇を続けています。
さらにインフレによる物流費・光熱費も膨らみ、販管費全体の負担は増す一方です。小売にとって「販促費をどう効率化しながら、限られた予算で最大効果を出すか」が避けられない課題になっています。
- 競合環境の変化
デジタル広告やSNSによる集客は当たり前になり、情報が溢れる中で「伝えても届かない」リスクが高まっています。
こうした状況から見えてくるのは、販促の役割を“モノを売る仕掛け”から“生活者の行動をデザインする仕組み”へと広げる必要性です。

お得カレンダーが示す「行動デザイン」
お得カレンダーは古くから使われてきた販促ツールですが、今の消費環境に合わせて捉え直すと、単なる「安い日のお知らせ」以上の意味を持ちます。

ウエルシアはウエル活と称してポイントが貯まりやすい日をカレンダーにしてお店やSNSで公開している
つまり、販促を線・面でつなぐシナリオを描けるツールになり得るのです。
- 集客
お得カレンダーを公開すると、「この日に行こう」という来店予定が生活者の頭の中に自然と組み込まれます。SNS・アプリ通知・店頭告知など、チャネルを計画的に組み合わせることで、来店動機を前もってつくることが可能です。
- 体験設計
実際に来店したお客様には「価格以上の価値」を感じてもらうことが重要です。
特に ポイントを使って得をした瞬間 は強く印象に残ります。
「ポイントを貯めて、今日は少し良いものが安く手に入った」──この体験はポジティブな記憶となり、お店への信頼感を高めます。
- 再来店の習慣化
お得な日に合わせた来店が繰り返されるうちに、それは生活リズムの一部になっていきます。
さらに ポイント活用が習慣化したお客様は、“いつ・どこのお店にお金を使うか”という毎日の買い物計画に自店を組み込むようになります。
これは単なる「再来店」ではなく、「日常の中で選ばれる存在」へ進化する流れだと考えられます。
- 販促費の効率化と還元
こうして自然な来店サイクルができれば、毎回の広告投資に頼らずとも集客が循環します。結果的に販促費を抑えられ、その効率化で得られた余力を 利益改善だけでなく“商品の安さ”としてお客様に還元する ことも可能になります。
「ここは安くて便利」という評価が強まれば、さらに選ばれる循環が生まれるでしょう。

課題と可能性
もちろん、課題もあります。
- 価格競争力の確保:競合よりお得感が薄ければ効果は限定的。
- 情報伝達の仕組み:掲示するだけでは届かない。早期に「お得を実感」できる仕掛けが必要。
- 短期と長期の両立:短期的な数字を追いすぎれば販促費が膨らむ。KPIを設定し、中長期の定着を目指すことが欠かせません。
しかし裏を返せば、これらは 販促全体を統合的にデザインするチャンス でもあります。
限られた販管費をどう使えば人件費やインフレの重圧に対応できるか。その実験場として、お得カレンダーは有効に機能すると感じます。

まとめ
お得カレンダーは昔からある仕組みですが、
- 来店を計画させ、
- ポイント利用で得した体験を残し、
- 毎日の買い物計画に組み込まれる存在となり、
- 販促費の効率化を通じて安さに還元する
という新しい役割を担えるようになっています。
販促の役割が「行動デザイン」へと広がる今、小売・メーカー・広告代理店が一緒になって仕組みを育てていくことが、持続的な成果につながるのではないでしょうか。
私たちも皆さまと共に、こうした可能性を計画に落とし込み、未来の売場・販促の形を考えていければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。